シェムリアップは謂わずと知れた観光地。町を歩けばホテルホテルホテル・・・とこんな小さな町にいくつホテルを建てれば気が済むんだ??というくらいホテルが立ち並んでいる町。

そんな数あるホテルの中で、私のお気に入りのホテルはスタッフもみんな感じがよくて、居心地がいいのだけれど、何よりも雰囲気も最高に素晴らしく、ここに泊まりたいなぁ。。。といつも行くたびに思わせてくれる贅沢な空間。

昨夜も友人とそのホテルへお酒を飲みに。

いつもは静かな落ち着いた空間のはずのバーラウンジにカンボジアの子供たちが10人以上座っていてちょっとびっくり。
何の集まりだろうねぇと話していると、子供たちと一緒にいた欧米人の男性がマイクを握り、バーラウンジにいるお客さん達に向かって話し始めた。

彼らはシェムリアップで孤児院を運営している団体で、一緒に来ているのは孤児院の子供たち。孤児院で子供たちは英語を勉強しているので、ぜひみなさんと英語で会話をさせてくださいということでした。

彼の話が終わると、子供たちがバーにいるお客さまのところへ散らばり、英語での会話が始まりました。私たちのところにも可愛い二人が登場。12歳の女の子。
brithsh orphant



How are you?
What's your name?

恥ずかしがりながらもまだ習いたてのような英語で話しかけてくる姿がとても微笑ましく、観光で来ているお客さま達も現地の子供たちと直接会話ができてとても楽しそう。




Where are you from?と聞かれて
We are from JAPAN.と答えると、ふたりして JAPAN?と首をかしげる。

Do you know JAPAN?と聞いてみると知らないとのこと。ロンドンやニューヨークは知っているけれど日本は知らないと。
そのあと、利発そうな男の子が二人やってきたけれど、この二人も日本を知らない。
クメール語で『チョポン』だよ〜というと、あぁ、チョポンか。と納得。英語のJAPANという単語は習っていないけれど、カンボジア語でいえばわかってくれた。日本を知っていてくれてちょっと嬉しくなる。

その後、好きな花は何?とか好きな果物は?とか好きな木は?とか今日の英語のレッスンで『What do you like〜?』という文型を習ったんでしょう!と言いたくなるくらい、何が好き?攻撃が始まりました。

彼女たちの好きな花は『バラ』との答え。カンボジアではバラよりもブーゲンビリヤとか蓮とかプルメリアなどの花のほうがよっぽど身近にあると思うけれど、彼女の好きな花はバラで、好きな木は『りんごの木』。カンボジアでリンゴの木なんて見たことないよと言うと、彼女自身も見たことないとの答え(笑)。

こんな会話の中から、語学教育って面白いなぁと感じました。

私は学生時代に日本語教師の試験を受けて、23歳〜30歳まで日本とカンボジアで日本語教育に携わり、外国人の方達に日本語を教えていました。
もし、日本人が日本語を教える時には好きな花は?ということころに『桜』が必ずでてくるでしょう。それと同じく英国人に英語を習った彼女たちは好きな花に『ROSE』という言葉がでてくるのです。

JAPANという単語を彼女たちが知らないというのも、英国人に習った英語の国名の中にアメリカやイギリス、フランスやカナダはでてきても、アジアの日本という国はでてこなかったのでしょうね。もし学習者が大人であれば教えられたことだけでなく、自分の母国語で聞いたニュースや情報の中で関心のあることを英語でなんというか聞きたい、知りたいと思うでしょう。
学習者が若ければ若いほど、自己がしっかりと確立していなければしていないほど、教える人間が持っている考え方や文化習慣が学習者に反映されていくのだなぁと感じました。

そして面白かったのは、カンボジア人だったら初対面の人に必ず聞くであろう『結婚してますか?』『給料はいくら?』という質問はどの子からもでてきませんでした(笑)。そこまでの英語力がないのか、そういうことを聞くのは失礼だよと先生に言われているのかどちらかはわかりませんが。。。

言葉を習うということは文化を習うことなのだなぁと改めて実感しました。

7時30分過ぎから始まり、英会話のおしゃべりは30分ほどでしたが、彼女たちが帰ったのは9時近く。
会話が終わってテーブルに着くと、1時間以上も誰一人騒ぐこともなく、うろちょろすることもなく、果物やお茶を飲んで過ごしていました。
ホテルのバーラウンジに入ることなどなかなかないでしょうけれど、こういう場所へ来た時のマナーを身につけさせたり、ハイレベルのサービスを受けさせたりということも、経験だなぁと彼らを見ていて思いました。

外からの様々な刺激や経験を受けて人は物を考え成長するもので、同じ環境の中にいるだけでは井の中の蛙になってしまう。自分自身、何歳になっても井の中の蛙にならず、外界を貪欲的に見て回ろうとする好奇心を失わない人間でいたいと思います。

彼らは毎週水曜日の夜にこのホテルで英会話のブラッシュアップをしているそうです。