シェムリアップで開催されていた第8回カンボジアフルーツ&ベジタブルフェアが終わりました。

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最終日の今日は朝の時点でパイナップルが完売。私達Angkor SvayChek Farmのブースでは売るものがなくなってしまったので早々に店じまいするほどパイナップルが大好評でした。
同じ展示会でパイナップルが半額以下で売られていたにもかかわらず、Angkor SvayChek Farmのブースは連日大盛況で飛ぶようにパイナップルが売れていきました。

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ブースに立っていたスタッフもお客様から何度も『なんでこんなに甘いの?ほかのパイナップルと違うの?』という質問を受けていたようです。

なぜ甘いのか??

カンボジアのパイナップル栽培では、通常カンボジア語で『トモースォイ(臭い石)』といわれる開花促進剤を散布してパイナップルの花を同時期に開花させるという方法をとります。これはカンボジアだけではなく、大量生産をするパイナップル農家では普通に行われていること。
同時期に開花すれば、収穫も同時期に行うことができるので効率はとてもいいのですが、わたしたちのファームでは自然の力にまかせ、このトモースォイを使いませんでした。

カンボジアでは一般的にトモースォイを使うのに、それを使わなければうまくいかないという意見もある中で、私たちのファームが実現したい理想(化学的なものは使わない)をまずは試験してみようという決断にみんなが同意してくれての初めてのチャレンジ。
当然ですが、花の開花はまちまち、収穫もバラバラです。パイナップルの木が大きく広がって元気よく成長すればするほど実がパイナップルの葉に隠れて見えずらくなり、どこに収穫時期のパイナップルがあるのかを把握するのはかなりの労力です。現在うちのファームには10000本ほどのパイナップルがありますが、これだけの数のパイナップルの開花をすべて把握し、バラバラに実っていくパイナップルの収穫の時期を見逃さずにいいタイミングで収穫していくというのは至難の業です。
同時期に開花してくれれば収穫も同時期に行えて、管理が簡単なのです。
それでも、スオイトモーを使わずに、自然の開花の力にまかせて、大地と水と太陽と鶏糞などの肥料の力だけでこんなにおいしく大きな実が実りました。ただただスタッフの努力の賜物。感無量です。


そして、もうひとつの何よりもの甘さの理由は、木の上でしっかりと熟成させていること。
物流の都合上、実が熟れる前に早めに収穫してしまうのが一般的です。通常の物流では、農家から仲介業者、小売店、消費者というように、お客様のところに届くまでにたくさんの時間がかかります。
木の上でぎりぎりまで熟成させてしまってはお客様のもとに届くころには腐ってしまうので、早めに収穫をします。
パイナップルの場合、収穫した後に追熟することはないのでバナナのように収穫してから甘味が増すことはありません。
日本でパイナップルがイガイガする感じがするのは、品種の問題ではないんだろうなぁと思います。
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私たちのファームで採れるパイナップルは芯を切り取る必要はなく、まるごと全部おいしくいただけます。
色もしっかりと濃くて、切る前からあまーい香りが漂ってくるほどの糖度です。

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無農薬、無化学肥料というオーガニックで野菜や果物を栽培するのは本当に手間がかかります。
虫や草や病気にも薬が使えないので対策はとても難しいのです。
もちろんオーガニックでなくても、何もない大地に実を実らせていく作業の苦労は大変なものです。
私は農業に関わって初めて知りました。せっかく何か月もかけて種から育て実がなってきたところで虫にやられる、大雨で浸水してしまう、病気で腐ってしまう。。。台風で根こそぎやられてしまう。
計算で管理できないことがたくさん起こります。

それでもスタッフみんなで知恵を寄せ合い、手間ひまを惜しまずに手入れをし、一年以上かけてやっと収穫したパイナップルです。

日本では最近、野菜の高騰がニュースになっていますが、どのくらいの期間をかけてそのひとつのキャベツや白菜が大地で作られてきたと思いますか??
そんな安値で売られて農家の人たちがばかばかしくなって土地を手放して食べ物を作ることをやめたらどうなるのでしょう?
野菜が高い高いっていうけれど、携帯代やゲーム代につぎ込んでいる金額ははるかに高いような気がする。もちろん何にお金を使うかはその人次第だし、価値観は様々だけれど、メディアでの取り扱い方にとっても疑問を感じるし、農業の価値を下げているように思う。食べていくことは人の根幹を作ることですよ。私たちの体は食べることによって作られているんですよ。

私がカンボジアで農業をはじめた大きな理由は、私達動物の生きる根底を支えてくれている生産者の人たちが貧しい生活を強いられている社会に違和感を感じたからです。
17年前からカンボジアに暮らし、シェムリアップやプノンペンの経済的な大変化を渦中にいながら見てきました。
都市部の経済発展の陰に、17年前と変わらない生活、いや物価が高騰してきてさらに生活が苦しくなっている農村の人たちを見て、私たちの命を支えてくれている人たちが苦しい生活をして、都市部の人たちが無駄に浪費する社会はおかしいと思ったのです。
そしてそこへ大きな資本や外国の資本がやってきて、農地をどんどん買い占めていく。農家の人たちは農業をしていても貧しい生活から抜け出せないから、このまま農業を続けるよりも土地を売って大金を手に入れたいと考える。だからシェムリアップ近郊も多くの農地が中国や韓国企業に売却されていきました。

農業を魅力的な産業にしたい、農家がきちんと食べていける農業にしたい、親が農業をしていて学もないから農業をやるんじゃなくて、農業をやりたい!と思う若者が増えるようなそんな魅力的な産業にしたい、それが社会にとって大切なことなんじゃないか、そんな思いからファームをスタートさせました。
まったくのど素人が始めたことですが、想いがあればそこにいい人たちが集まってくれるものです。一歩一歩ですが形になっていっているのを日々感じます。

一次産業である農業では収益があがらないということも実感します。パイナップルが1.5ドルでも高い!と言われるのです。1年以上かけてやっと収穫できたものが1.5ドルで高いと言われる悲しさ。
1000個のパイナップルを作っても、1年で1500ドル。月にしたら約120ドル。肥料や人件費などの経費をひいたら
何も残らないですよ。

だからこそ農業の6次化。もうかる仕組みをつくる。これが私がいま感じている使命。
農業の6次化を通じて、このアンコールスヴァイチェイク村の村おこしをして、村全体で農業を魅力的な産業にしていくこと。
5年で6次化を実現して、お金を稼いで次の村にまた投資していく。


野菜を作っていない人に、その野菜のヒストリーを感じてくれといっても無理があるとは思うけれど、自分の命を作っている食べるということの大切さを感じて、それを作ってくれている人がいるからスーパーにたくさんの食べ物が並んでいるんだということや安心安全な食べ物が食べられるというのは簡単なことではないんだっていうことをもっと感じてもらえるようなそんな活動もしていきたいと思う。



というわけで、長くなりましたが、だからうちのパイナップルは甘いんです^^













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